【コラム】下山の道に入った文大統領、コペルニクス的転換が切実だ 2019/12/20

文大統領
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今年ももうあと残すところ10日ほどとなった。一年を過ごしながら国民は深い悔恨に陥り憂うつになっている。何よりも今年一年間、韓国国民は互いに反目し合い、互いに指の突きつけ合いながら分裂した。

しかし、国民全員の心を一つに集めることができるようなものを見つけられなかった。ささくれた心をなだめるほど胸に迫る出来事もあまりなかった。しかし、いま大多数の国民を極度に憂鬱にさせているのは現在の苦痛よりも襲撃してくる未来に対する恐れだ。私たちが生きている社会が収縮社会で、縮小不均衡経済という事実に気づき、迫りくる未来を心配して集団うつ病にかかっているようだ。国政の品格が地に落ちて社会の度量の広さと道徳性が大きく揺れる中で、人々の胸中は得体のしれない怒りで満たされていっている。

文在寅(ムン・ジェイン)政府が偏りと疾走の中で強く推し進めてきた進歩政策は、悪循環の輪の中にはまり込んで国政各分野にわたって深刻な警告音が大きくなり始めている。民生経済は言葉も出ないほど疲弊していき、若者たちは未来に対する希望を失ってさまよっているのに、外交・安保状況は再び危険が最高潮に達している

このような現実は深刻な未来を予告している。各方面の状況を総合すると、新年は大韓民国と文在寅政府が避けて通れない魔の渓谷になりそうだ。全員が国家の未来に対してもう少し冷静な姿勢で臨まなければならない時だ。過去2年半の間、私たちは未来に目を向けることができず、過去に執着した。当時、突然やってきた執権機会の前に、文在寅政府は未来に対する大きな絵を描くことができなかった。また、ろうそく広場の狂風に巻き込まれ、一部の進歩学者と市民社会が陣営論理で急造した公約集を経典とみなしながら、何であろうとろうそくで焼き尽くそうとした。この過程で過去60年余りの艱難と奮闘の中で私たち皆がともに築き上げてきた蓄積と軌跡と信頼資産は、相当部分消失したり毀損(きそん)されたりした

何よりもろうそく万能主義の中で、執権勢力は国政を甘く見すぎた。執権初期、文在寅政府は国政主導権を強力に掌握した。野党は支離滅裂になり、反対勢力は息を殺した。ろうそくが正義・公正の代名詞として掲げられ、急進進歩政策が猛威を振るった。この間に急進運動圏勢力と進歩市民社会がパワーエリートの座に潜り込み、彼らは青瓦台(チョンワデ、大統領府)などの主要な職に布陣して陣営の番人役を果たした

彼らを牽制(けんせい)するべき国会とジャーナリズムはろうそくの狂風の前に萎縮して、一部の名望家は波状的な蜂の群れ攻撃を受けて大きく萎縮した。さらに知識世界が価値追求の代わりに生存志向で延命するかと思えば、官僚社会は現実適応力を強くして屈従するが追従はしない特異な姿に進化する姿が私たちをひどく悲しませる。一部のシンクタンクの叫びと嘆き、賢人の金科玉条は馬耳東風とばかりに消えてしまうこともあった。

その結果、見識と知恵もなく一方的式で積弊清算が行われながら国家生態系全般にわたって沈下現象が表出した。生態系内部の躍動性と回復力も大きく低下している。特に脱原発政策はエネルギー生態系を沈下させ、不動産政策は市場に翻弄され続け、所得主導成長政策は零細商人と自営業生態系を破壊した。進歩教育監たちが主導する教育政策は根本を失って道をさ迷い、教育生態系を回復不可能な状態に追い込んでいる。この過程を見守った多くの国民は、この国が社会主義国家に進むのではないかと考えて心配している。

文在寅政府は経済が停滞期を越えて長期沈滞期に本格的に入る分岐点で執権した。このような時代状況に対する没理解で、負傷部位に塩をすり込むような反市場的進歩政策を強行したものの、市場の逆襲を受けて沈滞を加速させた。英国フィナンシャル・タイムズが指摘した通り、過去半世紀の中で最悪の経済状況に達した。このような状況が企業家精神と勤労精神を退嬰させることになったのは、私たちに後ろ歩きさせるような歴史的失敗と言わずしてなんと言おうか。

また、北朝鮮非核化問題が巡り巡って元の場所に戻り、北朝鮮の核保有が既成事実になっているのに、これに対する根本的な対応策は特に話し合われていない。米国は米国で韓米同盟を絶対的価値ではなく相対的価値にますます位置づける状況で、文大統領の金正恩(キム・ジョンウン)委員長に対する過度な信頼と執着、過去指向的で民族主義的な歴史観と世界観ははなはだ心配だ。韓国外交が信頼の危機に陥り、韓米同盟と韓日米共助に亀裂現象を示しながら北東アジアの外交・安保地形が動揺している。この状況に及んでも、青瓦台(チョンワデ、大統領府)は見たいものだけを見て、読みたいものだけを読む「確証バイアス症候群」に陥って、危機の警告音を聞くことができないでいる。それで「泣斬馬謖」(大きな目的のために私情を捨てて身内を斬る)の代わりに「ネロナムブル」(私がすればロマンス、他人がすれば不倫)で一貫した。

国政の失敗が自明のものとなっているのに、文大統領の支持率が固く維持される理由は何だろうか。現執権勢力は「私たちは成功している、進歩勢力がどれほど強く盛り上がったか、自然発生的進歩がどれくらい増えたか」と大声を張り上げている。そして予算さえヘリコプターに載せて支持層に集中してバラ撒き続ければ40%以上の支持率を維持できるとし、誤った自己確信に陥っている知識人はポピュリズムに慣れた国民がアルゼンチンの国民のように甘い汁で骨抜きにされているのではないかと深く心配している。そして次世代に渡すべき肯定的遺産を前倒しして使ってしまい、否定的遺産だけを渡すことになるかと思うと、この上なく申し訳ない気持ちになる。

私たちは過去の閉鎖回路に縛りつけられている。そして小さくなる。「追い詰められ能力ない者が最も愛国する道は重要な地位を引き受けないことだ」。過去、私の直属の上官が放った鋭い警句だ。今、この言葉が脳裏をよぎる理由は何だろうか。先日、北京大学の著名な重鎮教授から「韓国国民はそれほど才能にあふれ賢いのに、どうして良い指導者は育てることができないのか」と聞かれたとき、それが深刻な人物生態系の沈下のためだとは、とても答えることができなかった。

過去の失敗した大統領たちの共通点の一つは、国政前半部に対する率直な自己反省がなかったという点だ。険しい下山の道を降りて行く文大統領は、今からでもこれまで何がどう間違っていたのかに対する問題意識を明確にしなければならない。真っ先にすべての国民の大統領に復帰し、そのときからこれまで持っていた認識の世界と自己確信をコペルニクス的に大胆に転換しなければならない。そして、これからは国家の未来を耕やさなければならない。

特に正義・公正・ろうそく精神を間違った方向に導き、国民を分裂させて過去の歳月に私たち皆が成し遂げた蓄積・軌跡を積弊とみなした誤った認識や、国家共同体利益よりも陣営利益を優先することもあるという陣営利己主義、韓半島(朝鮮半島)の平和に対する非現実的な幻想と自己確信、過度な民族主義と過去志向的執着から果敢に脱却しなければならない。今、文大統領に最も必要なことは、偏見を捨ててバランス感覚を取り戻し、未来の韓国に対するビジョンを再建することだ。今後は進歩陣営の小さな未来ではなく、国家の大きな未来にすべてを賭けなければならない。このために理念に縛られている未来を自由に解放しなければならない。

下山の第一歩を踏み出した文大統領は、なぜ私たちがこんなにも激しく分裂してしまったのか、なぜ大統領が国民を一つにまとめることができなかったのか、深く苦悩してみてほしい。今回、心の扉を大きく開き、すべての人、さらにろうそくによって焼けてしまった保守指向の人々まで懐に抱いて進むよう勧めたい。新年、すべての国民が文大統領に向けている視線だ。

鄭徳亀(チョン・ドクグ)/NEAR財団理事長・元産業資源部長官

https://japanese.joins.com/JArticle/260749


 

管理人コメント

長いけども、韓国の現状認識が私と似ている

お暇な方は読んでみてはいかが

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